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『小説 渋沢栄一』

2007 - 03/04 [Sun] - 00:00

小説渋沢栄一 (下)
小説渋沢栄一 (下)


今の日本の基礎は、維新後と戦後に作られたと言って良いと思う。
維新後の日本は経済的には、西欧列強に比べ赤子のようなものだったが、これを憂いた渋沢栄一は、いくつもの企業を育てるべく、身を財界に投じ、八面六臂の活躍を見せた。
その生涯を描く作品。

生まれは農家。
藍玉を売る富農に生まれ、商売の経験を得る。
幕末、いわゆる“維新の志士”が多数現れると、自らもこれに加わるが、転じて一橋家に奉公する。
一橋家の当主慶喜は、御三家水戸の出で、後15代将軍。
ちなみに徳川の系譜のうち、御三家とは尾張、紀伊、水戸で、御三卿とは田安、一橋、清水をいう。
慶喜が将軍職になっても、栄一は一橋家の奉公人であるから、将軍のそばに行くことはない。
が、慶喜に名を覚えられていた栄一は慶喜の弟が欧州に派遣される際、同行を命じられる。
弟の補佐を任せられる、と認められたのだろう。
欧州の経済の発展の仕方、会社組織、金融機関などなどを目の当たりにして、栄一は、“日本もかくあるべし、さもなければ食い物にされる”と認識し、財界人として日本の経済、商業の発展に尽くすことを決意する。

個々の活躍は省く。


栄一の考え方で気に入ったものをあげておく。

“事柄に対するとき、道理にかなうかをまず考え、次に社会の利益にかなうかを考え、その後に自分のためになるかを考える。
そうして、自分のためにはならないが、道理にかない、社会の利益になることであれば、自分を捨て道理のあるところに従うつもりである。”

“人は、目の前の大事に対しては、精神を注いで思案するけれど、小事に対しては頭からバカにして不注意にやり過ごしてしまうものである。
小事かえって大事となり、大事案外小事となることもあるから、大小にかかわらず、その性質をよく考慮して、相当の処置を心がけるのが良い。”

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